利息を制限する法律は2つある
事業主が、会社や個人事業の資金繰りのために、自ら借金をすることはよくあります。
親しい人からお金を借りる場合には利息がつかないこともあるかもしれませんが、貸金業者から借りる場合には、利息をつけて返済する必要があります。
利息は、2つの法律で上限が設けられています。
利息制限法と出資法です。
このうち利息制限法は、元本の額によって3段階に分けて利息を制限しています。
一方、出資法による利息の制限は単純で、元本の金額にかかわらず、一律で年利29.2%となっています。
制限に違反した場合の取扱いはそれぞれの法律で異なります。
利息制限法の制限に違反した利息については無効とされますが、貸し手側か法的に罰せられるといった厳しい処置をとられることはありません。
一方、出資法の制限に違反した利息をとった場合には、その業者には刑事罰が科せられます。
利息制限法には罰則がないことから、たとえば50万円を年利25%で借りた場合など、利息制限法の制限に違反していても出資法には違反していない、という状況が起きているのが実情です。
このように利息制限法に違反していても出資法に違反していない金利(元本が10万円未満の場合は年利20~29.2%、元本が10万円以上100万円未満の場合は年利18~29.2%、元本が100万円以上の場合は年利15~29.2%)を一般にグレーゾーン金利と呼んでいます。
返済期限に遅れるとどうなるか
お金を借りた際には返済期日が定められます。
この返済期日に遅れた場合、遅れた日数分の遅延損害金を支払わなければなりません。
利息制限法は、遅延損害金についても制限を設けています。
具体的には、利息制限法が定めている利息の上限の1.46倍までは有効と定められています。
したがって、元本が10万円未満の場合は年利29.2%、元本が10万円以上100万円未満の場合は年利26.28%、元本が100万円以上の場合は年利21.9%が上限となります。
ただし、利息制限法には罰則規定はないため、利息制限法で認められている遅延損害金の年利を超えたとしても、出資法で定められている年利29.2%を超えない限りは刑罰が科せられることはありません。
こうしたことから、元本が10万円以上の遅延損害金の設定額については、実質的には利息制限法の上限を超えつつも29.2%を超えない範囲で定めている業者が多いのが実情です。
出資法の上限金利は引き下げられる
貸金業者が利息制限法の上限を超えた金利を設定することができる理由としては、利息制限法に罰則がないこともありますが、貸金業法の規定によって、利息制限法上の上限を超える金利を支払った場合でも、借主側か任意に支払った場合には有効となる、という規定があるからです。
この規定は一般的にみなし弁済規定と呼ばれています(ただし、みなし弁済規定が適用になるには、いくつかの厳しい要件がある)。
グレーゾーン金利の存在で、多くの借主が多重債務者となり返済に行き詰まるという問題が多く生じたことから、貸金業法、出資法、利息制限法が2006年以降、段階を踏んで様々な改正がなされています。
ここでは、改正による利息についての変更点を知っておきましょう。
まず、出資法の上限金利が下がります。これまでは、出資法の上限利率は年利29.2%でしたが、改正により20%に下げられることになりました。
また、みなし弁済規定も廃止されます。
これら出資法の上限利率の引き下げとみなし弁済規定の廃止により、グレーゾーンの範囲は縮小されることになります。
債務者は利息制限法で定められた低金利で、借入れができるようになります。
なお、改正は、4つの段階を踏んで順次施行され、2010年6月までに法改正を施行し終えることになっています。
引き直し計算で借金が減る
罰則がないとしても、そもそも利息制限法の上限を超えた利息をとることはできません。
利息制限法で定められた以上の利息を支払った場合には、取り戻すことができます。
これを引き直し計算といいます。
引き直し計算とは、利息制限法の利率で計算し直し、利息制限法の上限を超えて支払っていた金利を元本に充当することをいいます。
これまでほとんどの貸金業者は、利息制限法の上限を超えた利率で貸付けを行なっていました。
そのため、引き直し計算をすれば、多くの場合、払いすぎた利息を取り戻すことができます。
とくに資金繰りなどで長年、貸金業者から借入れと支払いを繰り返していた場合、支払った利息が元本を超えていることもあります。
そのような場合には、払いすぎの利息を元本に充当することで借金が消えるだけでなく、貸金業者から支払った利息を取り戻すこともできます。
つまり、借金整理の必要がなくなるのです。
引き直し計算の仕方
利息額は、以下のようにして求めることができます。
利息額は、利息額=借入金(元本)×利率×日数÷365で求めることができます。
たとえば、業者から100万円を29%で1年間(365日)借りた場合の利息額は、100万円×O・29×365÷365=29万円となります。
ただ、この29%の金利は利息制限法の利率を超えているため、利息制限法の金利15%(100万円以上を借りるときの金利は15%)で引き直し計算をすると、100万円×O・15×365÷365=15万円となります。
利息制限法の上限を超えた部分の利息は無効なため、29万円から15万円を引いた14万円が取り戻すことのできる金額となります。
下記、過払い金の事例では、51万円の過払い金が発生していました。
http://kabarai-soudan.jp/pjms_jirei_d.php?id=442&idsub=1